「グロースハック完全読本」を読んだ
- 作者: ショーン・エリス,モーガン・ブラウン,金山裕樹,,門脇弘典
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2018/09/28
- メディア: 単行本
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感想
- アメリカの事例が多く紹介されていながら、どのようにプロダクトを成長させていくのかが、まとまっていた。
- 今まで読んだグロースハック系の本の中では、一番良くまとまっていた。
- ただ、目的と概論や、全体の把握には良いが、実際に進めるとなると、分析の方法や、ユーザの心理理解などは別の本で理解を進める必要がある(グロースハック自体が分野横断的なものなので、仕方ない)。
- 他の本を読んだことがあったり、記事などで日々読んでる人にとっては、そこまで新鮮な内容ではないが、体系的に知識を整理することはできる面では良いと思う。
- グロースチームのリーダー向けだが、メンバーが読めば、より良いチームになりそう。
- 書いていることは、結構当たり前のことが多いが、実践し続けるのが一番難しいと思う。
目次
第1部 グロースハックの基本
第1章 グロースチームを結成する
ビットトレントでは、元々はプロダクト部門とマーケティング部門が別れていた。
マーケティング部門の担当者のユーザ調査結果から、施策を実行したところ、有料会員を急激に増加させることに成功した。
一般に、縦割り型の組織の会社が多く、顧客中心の製品開発とマーケティングが実現しにくくなる。組織横断型のグロースチームを結成して解消することが望まれる。
メンバー構成
- グロースリード
- プロダクトマネージャー
- ソフトウェアエンジニア
- マーケティングスペシャリスト
- データアナリスト
- プロダクトデザイナー
グロース部門を作るときは、社内の抵抗勢力が出てくる事が多いが、データで反証して、結果を出すしかない。
第2章 プロダクトの渇望度を測る
マストハブなプロダクトには必ずアハ・モーメントがあり、この体験が熱狂的なファンに変える。
ユーザに愛されるアハ・モーメントが見つかってから、グロースハックでアクセルをかける。
アハ・モーメントを見分ける
- マストハブ・サーベイ
- Q.もし明日このプロダクトがなくなったら、どれぐらいがっかりしますか?
- すごくがっかりする
- 少しがっかりする
- がっかりしない(あまり役になってない)
- 該当しない(すでに利用していない)
- 4割以上が「すごくがっかりする」だとマストハブ
- Q.このプロダクトが使えなくなったら、代わりに何を使うますか?
- 代わりになにか使うことはない
- 以下のものを使う
- Q.このプロダクトから得ている最大の恩恵は何ですか?
- Q.このプロダクトを誰かに薦めたことはありますか?
- ない
- ある(どういうプロダクトだと説明しましたか?)
- Q.このプロダクトから最も恩恵を得られるのはどんな人だと思いますか?
- Q.このプロダクトのどこが改善されればニーズを満たせますか?
- Q.ご回答について追加質問のメールを送らせていただいても、よろしいでしょうか?
- Q.もし明日このプロダクトがなくなったら、どれぐらいがっかりしますか?
- 維持率測定
マストハブに到達していないとき
改善の多くは、足し算ではなく引き算。引き算して、アハ・モーメントにユーザが集中するようにする。
- 追加ユーザ調査
- 熱狂的なユーザを対象にすることで、グロースにも繋がる
- プロダクトの文言や変更についての効率的な実験
- A/Bテスト
- ユーザデータの徹底的な分析
第3章 成長のレバーをつかむ
- 成長戦略を練り、目指すべき指標を定める
- とにかくフォーカスする
- 計測周りを整備する
- レポートで可視化
第4章 高速で実験を繰り返す
「分析 => アイデア生成 => 優先順位付け => 実験 => 分析」のサイクルを高速にチームで回すことが重要
分析
- ヘビーユーザーの行動
- ヘビーユーザーの属性
- 使わなくなる切っ掛け
アイデア生成
できるだけ多くをチームで出すこと。
フォーマット例
- アイデアの名称
- 単純で明快な命名をすることで、議論が進みやすい
- アイデアの内容説明
- 5w1h
- 仮説
- 原因と期待される結果(数字で示す)
- 測定指標
優先順位付け
ICEスコアシステム - I:Impact(影響度) - C:Confidence(自信度) - E:Ease(簡単度)
グロースミーティング
- 15分:指標のレビューと重点領域のアップデート
- 10分:前週に行った実験活動のレビュー
- テンポ、実施できなかった実験数
- 15分:実験結果の分析から得られた学びの共有
- 15分:次のグロースサイクルに向けた実験の選定
- 5分:アイデア・パイプラインの増減のチェック
第2部 グロースハックの基本
第5章 獲得をハックする
チャネル・プロダクト・フィットの実験
- コスト
- ターゲット(ターゲットのセグメントか)
- コントロール(開始後に、修正・中止が容易か)
- インプット時間(準備にかかる時間)
- アウトプット時間(成果がでるまでの時間)
- スケール(リーチできる人数)
このリンク先で、公式のテンプレートがある。 growthhackers.com
第6章 活性化をハックする
- 欲求 - フリクション = コンバージョン率
- フリクションを減らす方が容易
- ポジティブフリクション
- 訪問者がプロダクトの価値を理解してアハ・モーメントに到達する可能性を高めるために、あえて踏ませるステップのこと。
- ラーンフロー
- アンケート
- ゲーミフィケーション
- トリガー
- push通知、メールなど
業界別iOSプッシュ通知許可率
第7章 維持をハックする
- evernoteなどは、情報が貯まれば貯まるほど、利用頻度と価値が上がるので、年月が経つほど毎月利用するユーザの割合が増える。
3つのステージ
初期ステージ
- 新規ユーザー体験の最適化
- プロダクトのコアバリューを早く体験させること
中期ステージ
- プロダクトの利用を習慣化させて、ユーザのコミットメントを確立すること
- エンゲージメントループで、「継続的な報酬」が得られるという刷り込みを行う
- 「トリガー => 行動 => 報酬 => 投資」のループ
- 施策例
- ブランドアンバサダー・プログラム
- ミッション達成への表彰
- 1日1万歩歩いたときにお祝いメッセージなど
- 顧客関係のカスタイズ
- 機械学習でパーソナライズなど
- 価値向上の予告
- 新機能や、コンテンツの続編などを事前に告知する
長期ステージ
- 既存機能や通知、継続利用からの報酬の最適化
- 長期にわたる着実な新機能の導入
- 増やしすぎるとコアバリューが見えなくなり、価値が下がるので匙加減が必要
第8章 収益をハックする
- 収益ファネルを把握し、コホート別に分析を行う。
- ジャッカール指数などでレコメンド
- 価格設定などは、心理学的なところを学ぶべき。
以下3冊は、本の中でよく言及されていたもの。
予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: ダンアリエリー,Dan Ariely,熊谷淳子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/08/23
- メディア: 文庫
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ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: ダニエル・カーネマン,村井章子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2014/06/20
- メディア: 文庫
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- 作者: ロバート・B・チャルディーニ,社会行動研究会
- 出版社/メーカー: 誠信書房
- 発売日: 2014/07/10
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説得の6原則
- 返報性
- コミットメントと一貫性
- 本契約の前に、本当は不要な仮契約を挟む
- 社会的証明
- 権威
- 行為
- 希少性
- プロモーションの期限、残りの在庫数、特典に上限を設ける
第9章 成長の好循環
- 成功に終わりはないので、いまのところ成功している方法にとらわれないこと。
- 分析のレベルを1段階上げるなどして、アイデアを出す
- 作者: ショーン・エリス,モーガン・ブラウン,金山裕樹,,門脇弘典
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2018/09/28
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