KyberNetworkについて調べた
- KyberNetworkとは
- DEXのメリット
- 従来のDEXの問題点
- KyberNetworkの特徴
- 設計、仕組み
- KyberNetworkの提供するシステム
- KyberNetwork Crystalのインセンティブ設計
- 現状の懸念・問題点
- 今後
- 参考
KyberNetworkとは
KyberNetworkとは、様々なトークンの取引を行える分散型流動性ネットワークである。
KyberNetworkはEthereumのブロックチェーン上で動いている。
下記を目標にしている。
- 中央集権
- 即時交換
- 既存のDEXの問題点の解消
- 多くの種類のデジタル・アセットを所持することによる問題の解消
DEXのメリット
DEXとは、Decentralized Exchangesの略称で分散型取引所のことである。
BinanceやCoincheckなどは中央集権型の取引所であり、それに対してDEXは下記のようなメリットや特徴を持ち、取引所の信頼なしに取引を行うことができる。
- 取引所に自分の資産を置く必要がない。
- 中央集権型の取引所では、取引所を信頼してトークンを預けないといけない。
- また、従来では本人確認など様々のプロセスを経て、自身で取引所のパスワードの管理等を行いながら利用する必要があるが、それらが不要になる。
- サイバー攻撃を受けにくい。
- 中央集権型の取引所は、常にサイバー攻撃を受けてハッキングされる可能性にさらされている一方で、直接的に攻撃されることが減る。
- また、DEXそのものはユーザの資産を持っていないため、攻撃者のメリットも低く、攻撃対象になりにくい。
従来のDEXの問題点
DEXは既にいくつも存在しているが、下記のような問題点を抱えている。
- 即時に注文が通らないため、外部の市場操作の危険にさらされている。
- チェーン上に注文を保存しているために、修正やキャンセルを行う際に大きなコストがかかる。
KyberNetworkの特徴
上で述べた、中央集権型の取引所や従来のDEXの問題点以外にも、下記のような特徴がある。
- 即時に簡単にオンチェーン上で取引を完了することができる。
- 既存の取引所では発注してから数分程度待つ必要がある。
- ユーザは注文書を発行するのではなく、取引前に交換レートを知ることができ、gas代以外の手数料を支払わずに安価に取引を行うことができる。
- 簡単に多くの種類のトークンを扱うことができる。
設計、仕組み
ネットワークは以下の5つによって構成される。
- ユーザ
- リザーブ
- リザーブコントリビュータ
- ネットワークに資金を提供する役割。
- ユーザとの取引で利益を得ることができる。
- リザーブマネージャー
- リザーブを管理したり、レートを決め、KyberNetworkにレートを知らせる役割。
- KyberNetworkオペレータ
それぞれの構成員が独立してスマートコントラクトでやり取りをする。
white paperより
取引の流れ
ユーザが異なるトークンを交換する場合を例に挙げる。
- KyberNetworkオペレータがトークンのペアを取扱対象に追加する。
- KyberNetworkオペレータがリザーブを追加して承認する。
- リザーブコントリビュータがリザーブに資金を用意する。
- この資金はKyberNetworkが保持する訳ではない。
- リザーブマネージャーがレートを定める。
- ユーザが交換レートを確認する。
- ユーザがトークンを交換する。
- ここでの取引は、管理者の承認等を待つ必要なく、1トランザクションで完結する。
- 最安のレートを提供したリザーブコントリビュータがユーザとの取引で利益を得る
- KyberNetworkにKNCで手数料を支払う。(現在は0.25%)
KyberNetworkの提供するシステム
大きく以下の4点である。
- スマートコントラクト
- ユーザのウォレット
- Metamaskなどと連携して利用できるKyberSwapが提供されている。
- リザーブマネージャ用の管理画面
- 持っている資産のポートフォリオやレートの設定を補助する役割。
- KyberNetworkオペレータのダッシュボード
また外部向け(ユーザやリザーブマネージャなど)に向けたAPIを提供する。
KyberNetwork Crystalのインセンティブ設計
KNC(KyberNetwork Crystal)は発行上限数が226,000,00に定められており、KyberNetworkがburnし続けることで保持者にインセンティブが与えられる。 以下のようにサイクルが循環することで価値が高められるため、取引高を増やす方向に進むように設計がなされている。
- リザーブが手数料を支払う際に使用されるため、参加者が購入する。
- 取引され、リザーブが取引高の0.25%分の手数料をKNCでKyberNetworkに支払う。
- KyberNetworkが一部をburnして、価値が向上する。
- リザーブがKNCを買い戻す。
KNCの分配
ICOによって下記のように分配された。
現状の懸念・問題点
- リザーブの参加者にメリットが十分与えられるように取引量が増加しなければならないこと。
- ユーザのリクエストに応じられるだけの十分なリザーブを確保し続けなければならない。
- これに対しては、一般ユーザ等多くの人が参加できるようにAPIを提供する準備を行っている。
今後
今後は下記のようなスケジュールを予定している。
- 2018年Q3
- Gormosの詳細に関するリリース
- 開発者向けAPIのリリース
- KyberGOのローンチ
- 2018年Q4
- クロスチェーンのサポート
- リザーブを増やす
- 2019年Q1
- 応用的な金融証券
- 2019年Q2
- Gormosのテストネットのローンチ
Gormos
Plasmaや現在のシャーディングを組み合わせた方法よりも速く、スケール可能なスケール問題の解決策のことを指す。KyberNetworkそのものとは、独立したOSSのプロジェクトである。SNSやオンラインゲームにも適用可能なレベルのスケーラビリティで、シャーディングに対しても低レイテンシーな手法。 他の手法に対するデメリットは、すべてのDAppsには適用できないことが挙げられる。 white paperは近日公開される予定。
KyberGo
KyberNetworkにおけるトークンセールの仕組みのこと。 非中央集権的に、多くの人を対象に便利にかつセキュアにトークンを配布できる。 現在、ブロックチェーンの活用例の一つであるトークンセールでは、下記のような問題を抱えており、それらの解決策となりうる。
- 購入方法がBitcoinやEtherなどと制限されている。
- ハッキング、詐欺、フィッシングなどの温床になっている。
- 複雑なKYC
参考
Kyber Network whitepaper - whitepaper.io
Kyber 2.0 Event Round-up – Kyber Network
Blockchain in the Real World: Kyber Network – Hydrogen – Medium